2025年11月26日、全国のアスパラガス生産者が一堂に会した「アスパラガスサミット2025」。会場が熱気に包まれる中、このイベントをスポンサーとして力強く支援したのが、株式会社イノベックスです。
近年、日本の農業現場で深刻化している「夏の異常な暑さ」や「不順な天候」。これらの課題に対し、同社は本業である「プラスチック製ネットの製造技術」と最新の「バイオスティミュラント(植物刺激資材)」を駆使し、アスパラガスの地温上昇を抑える高機能遮光ネット『ネオシェード清冷(せいれい)』や、植物を丈夫にする液体ケイ酸資材『マグマSi』、微生物の力で栽培環境を整え健やかな成長を促す『ソイルスープ』を提案しています。
なぜ今、網戸のトップメーカーをルーツに持つ企業が、農業の「暑さ対策」とバイオスティミュラント系にこれほどまでに注力しているのか。サミットでの手応えや、解決策の核となる科学的根拠について、玉村さん、増本さん、永野さん(以下、イノベックス)の3名にお話を伺いました。
アスパラガスサミットで見えた「生産者の切実な悩み」
――まずは、サミットに参加された率直な感想をお聞かせください。
イノベックス: 今回、アスパラガスという単一の作物に特化した展示会に参加し、会場の熱量の高さと、生産者の皆様の課題意識の強さを肌で感じました。 ブースに来てくださる方の多くが、昨今の猛暑を受け「地温をどう下げるか」という明確な課題を持っておられました。植物によりますが一般的に根の働きは地温が35度を超えると著しく低下するため、そこに対する危機感は相当なものです。私たちのフラッグシップである遮光ネット『ネオシェード清冷』に対しても、「まさにこれが欲しかった」という切実な声を多くいただき、皆様が「暑さ対策」にいかに真剣に取り組まれているかを再認識する機会となりました。
イノベックスの歩み:1956年から続く「織り」のDNA
――御社は網戸のシェアで国内トップクラスですが、改めてその歴史と農業への繋がりを教えてください。
イノベックス:
イノベックス自体は2013年設立ですが、その根底には深い歴史があります。1956年創業の「ダイオ化成」(日本初の網戸用 合成繊維防虫ネット)と、1964年創業の「日本ウェーブロック」が、2020年4月に統合して現在の「新生イノベックス」となりました。
ダイオ化成は網戸のパイオニアであり、現在も家庭用網戸の国内トップシェアを誇っています。網戸は「織物」ですので、そこから派生して農業用の防虫ネットや遮光ネットを展開してきました。一方、日本ウェーブロックは樹脂シート技術に優れ、農業の分野においてはトラックシートなどの生地を製造しております。他にもヨーグルトのパッケージや、コンビニのお弁当容器なども手掛けています。
私たちのロゴマークは、これら歴史ある技術を土台に成長する「発射台」をイメージしています。現在、アグリソリューション事業は、網戸などのリビング事業と並んで重要な柱として位置づけられています。静岡県の袋井・掛川にある自社工場で、農業生産者向けの高品質な製品を一貫生産しています。
高機能遮光ネット『清冷』:データが証明する「明るいのに涼しい」
――『ネオシェード清冷』は、従来の遮光ネットと何が決定的に違うのでしょうか?
イノベックス:
従来の遮光ネットは、太陽光を遮ることでハウス内の温度が上がることを抑え、光の量を調整する目的で使われ、光合成を調整します。昔から使われている黒の遮光ネットで暑さ対策をする場合、遮光率が高いものを使うことが多くなり、遮光率が高いことで植物が生育不良になることがあります。また、白やシルバーの遮光ネットは黒よりも太陽光を反射させるのが特徴ですが昨今の酷暑では防ぎきれない場合があります。これを解決したのが『ネオシェード清冷』です。特殊熱線吸収剤を糸に練り込むことで、光合成に必要な光(光合成有効放射)は透過させつつ、暑さの原因となる「赤外線」を遮光率以上にカットします。
【データで見る『ネオシェード清冷』の実力:波長コントロール】

・遮熱効率の逆転:通常の白色遮光ネット(遮光率60%)よりも、『ネオシェード清冷(遮光率30%)』の方が、30%も多く光を取り入れているのに、赤外線のカット率は高いというデータが出ています。

・実証結果(ブドウ・ピオーネ):岡山県の事例では、未被覆と比較して葉面温度を約6度(39度→33度など)下げることに成功しました。暑さでベロッと垂れていた葉が、ネオシェード清冷をかけるとシャキッと上を向くようになります。

・作物の健康:気温を下げつつ、「植物体」や「地温」も下げる効果があります。極論、気温が下がっても植物自体の温度が下がらないと意味がないからです。
ただし、運用上の重要な注意点があります。『ネオシェード清冷』は赤外線を「吸収」するため、ネット自体が若干または少し熱を持ちます。内張とした場合、背の低いハウスで、伸びてきた葉がネットに近づきすぎると「葉焼け」を起こすリスクがあります。そのため、天窓や肩換気、あるいは循環扇などで「風を回す」対策をセットで行い、上部の熱を逃がしてあげることが、その性能を最大限に引き出す鍵となります。外張り(外部展張)をお勧めします。
異常気象に負けない「丈夫さ」と「成長」:資材の役割
――液体ケイ酸資材『マグマSi』と微生物資材『ソイルスープ』、この2つの役割の違いを詳しく教えてください。
イノベックス:
簡単に言うと、『マグマSi』が植物の細胞壁の強化で、太く丈夫な「骨太な植物」を作るのに対し、『ソイルスープ』は微生物の活性効果で「成長ブースター」の役割です。
①液体ケイ酸『マグマSi』による「強靭な肉体作り」
ケイ酸は土壌に3割ほど存在しますが、「溶けにくい成分で、吸収されにくい」のが最大の弱点です。『マグマSi』は液体であり、植物がダイレクトに吸える状態にしてあります。
・ストレスへの還元作用:植物は暑さや寒さのストレスを受けると「酸化(老化)」します。ケイ酸にはこれに対する還元作用があります。
・細胞壁のガード:細胞壁の周りにケイ酸が溜まり、壁を強くガードします。これにより、高温時の「軟弱成長」を防ぎ、過酷な温度環境でも持ちこたえる丈夫な身体作りが期待できます。
・実証事例:あるレタス農家では、猛暑で周囲の農家が途中でトウがたってしまい、収穫が激減した中、マグマSi使用者はほぼ100%収穫できたと喜んでいただきました。
②微生物資材『ソイルスープ』による「健全性育効果」
乳酸菌、酵母菌、納豆菌という3種の菌を共生させた「バイオスティミュラント(BS)資材」です。
・複合菌の活性効果:微生物が活発に働くことで植物が健全な生育を強力にサポートします。
・併用効果:『マグマSi』と併用することで、植物の中と外から異なるアプローチで丈夫にし、猛暑下でも作物のストレスを軽減して健全に生育できる体力を促します。
・実証事例(お客様の声)(枝豆):定植時に苗を溶液に漬け込む「どぶ漬け」を行うだけで、埼玉、千葉、新潟の各試験で収量に大きな効果が確認されています。キャベツやジャガイモでも、未処理と比較して明らかに健やかで大きく育つ結果が出ています。
アスパラガスにおいても、実績は少ないのですが、マグマSiを使用したある生産者様から「貯蔵根(ちょぞうこん)が今まで見たことがないほど太くなった。来春が本当に楽しみだ」という非常に明るい報告をいただいています。
「現場の使いやすさ」と「メーカーとしての矜持」
――市場には安価な類似品もありますが、御社製品の強みは何ですか?
イノベックス: まず、国内で遮光ネットに使用する糸から製造、加工をしているところです。国内製造の安心さと使用する現場にあわせて加工することが出来ることが強みと考えております。また、「ネオシェード清冷」は弊社の工場でネットの糸に特殊熱線吸収材を練りこんでおります。特殊熱線吸収材は、劣化しにくいものを使用しているため長期に使用いただけることが、もう一つの特徴です。
また、マグマSiに関しては「目に見える効果の速さ」です。 早い場合は使用後3〜4日で、葉の立ち方などの「植物の顔つき」が変わるとのお言葉を多くの生産者の皆さんからいただいています。ただ、効果が高い分、使用法には注意が御座いますので、ご使用の際は用法をご確認いただくようお願いしております。現在、全国の産地を周り、直接生産者の皆さんと現場での使用方法などを丁寧に説明し、十分な成果を出して頂くことを何より重視しています。
私たちは、遮光ネットを「お皿」、BS資材をその上の「ソース」と考えています。 お皿(環境)を整え、良い食べ物(栄養)を与える。この両輪が揃って初めて良い作物が育ちます。「一度売って終わり」ではなく、農家様の生涯のパートナーとして伴走し続けること。BS資材のリピート率の高さは、その信頼の証だと自負しています。
生産者へのメッセージと未来への展望
――最後に、アスパラガス生産者の皆様へメッセージをお願いします。
イノベックス: やはり今、生産者の皆様が最も苦労されているのは、夏の猛暑をはじめとする「極端な気象変動」との戦いだと思います。 私たちは、あの過酷な暑さに負けない、元気で健やかなアスパラガス作りを全力でサポートさせていただきます。特にアスパラガスにおいては、『マグマSi』と『ソイルスープ』を併用していただくことで、芽吹きの活性を高め、収量を確保できると確信しています。せっかく頂いたこのご縁を大切に、来作に向けて皆様と一緒に挑戦していきたいと考えています。
また、これからの農業課題は、私たち一社の力だけで解決できるものばかりではありません。 『ネオシェード清冷』という新しい遮熱対策を広めていくことはもちろんですが、例えば他社様の優れた「換気技術」と、当社の「遮光・遮熱技術」を組み合わせるなど、メーカーの垣根を超えたコラボレーションも必要です。 サミットに参加されている他の企業様とも手を取り合い、それぞれの強みを「かけ合わせる」ことで、生産者の皆様にとって本当に有意義な解決策を提示し続けていきたい。それが私たちのこれからの目標です。
【編集後記】
イノベックスの提案は、アスパラガスのための「三段構えの防護策」です。
- 『ネオシェード清冷』が熱線を防ぎつつ植物にとって必要な光を通過させる最新のフィルターとなり、
- 『マグマSi』が猛暑にも負けない丈夫な身体を作り、
- 『ソイルスープ』の微生物が活発に働くことで植物に活力を注入するブースターとなる。
網戸をはじめとした「優れた織る技術」から始まった同社のソリューションが、他社技術との「コラボレーション」によって、これからの異常気象時代を生き抜く農業の「発射台」となっているのだと感じました。
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