2025年11月26日、東京・大手町のAgVenture Labにて「アスパラガスサミット2025」が開催されました。
昨年の開催に続き、今年も東京とオンラインのハイブリッド形式で開催されました。 申込総数は現地・オンライン合わせて580名を超え、アスパラガス単独のイベントとしては異例の規模となりました。
会場には、全国の生産者はもちろん、JA、行政、流通業者、資材メーカー、新規就農希望者など、多くの農業界関係者が集結しました。「産地や立場の垣根を超えた『知の共有』」をテーマに、栽培技術から経営戦略まで、息つく暇もないほど濃密な議論が交わされました。
当日の熱気と、会場でしか聞けなかった「ここだけの話」をダイジェストでお届けします。

Session 1:全国の生産事例〜教科書にはない「現場のリアル」〜
前半のセッションでは、近年注目を集める「枠板式高畝栽培」や、猛暑を乗り切るための「高温対策」など、現場で役立つ実践的なノウハウが紹介されました。
【Session 1 登壇者】
特に印象的だったのは、きれいごと抜きの「本気のQ&A」です。 登壇者の発表中、会場からは具体的な経営判断に踏み込む質問が次々と飛び出し、予定時間をオーバーするほどの盛り上がりを見せました。
▼ 会場を沸かせた質問(一部抜粋)
- 「高畝栽培の損益分岐点は、具体的にどこか?」
- 「高畝における春芽と夏芽の収量割合はどう変わる?」
- 「近年の猛暑における高温対策、具体的な農薬は?」
登壇資料には詳細な数値や実験データが含まれており(※アンケート回答者限定特典)、参加者はスライドを食い入るように見つめ、熱心にメモを取る姿が見られました。
Session 2:アスパラガスビジネスの最前線〜「モノ」から「コト」へ〜
後半は、百貨店のバイヤーの方や、直販に成功している生産者の方が登壇し、「選ばれるアスパラガス」になるための販売戦略が語られました。
【Session 2 登壇者】 ![画像挿入:登壇者の写真]
ここでも、明日からすぐに使えるアイデアが共有されました。
▼ 明日から使える「売るためのヒント」
- 体験の価値は?
- 直売所での見せ方、どう工夫する?
- ユニークな売り方の実例
参加者の声
終了後のアンケートでは、多くの参加者から「刺激を受けた」という熱いコメントが寄せられました。その一部をご紹介します。
「前回と比べて内容盛りだくさんで大変勉強になりました。パネルディスカッションの時間がもう少しあるといいなと思いました。一つのテーマに対しての登壇者同士のクロストークなども見てみたいと思いました。まだまだ聞きたい事がたくさんあるので、次回は是非会場にお邪魔したいと思います!今回も有意義な時間になりました。ありがとうございました。」
「流通に携わる人たちのアスパラガスへの思いも聞けて大変有意義でした。栽培する側としては、1000円超えのキロ単価で誰が買ってくれるのか疑問もありましたが、「主菜になりうる野菜」と評してもらえていることがわかって有意義でした。」
「様々な意見を聞くことができ、とても参考になりました。JR九州様の「アイパッカー2」など今回初めて耳にする機械がありました。全国津々浦々、まだまだ知られていない、ネットでも拾えない便利な機械、資材もたくさんあると思います。」
一方で、「1日では聞ききれない!」「もっと深掘りしてほしい」という贅沢な悩み(?)も。
「内容自体はどれも面白かったが、1日で聞くには講演の本数が多すぎるかも知れません。2回分の分量のように感じました。」
「一人一人の発表をもっと掘り下げて聞きたいという気持ちと、短時間で多くの事例を聞くことができて冗長にならずによかったという気持ちと両方ありました。とても良いサミットだったと思っています。」
これらは、現在のアスパラガス産業における「課題の多さ」と「可能性の広がり」を物語っています。運営事務局としても、次回に向けてさらにブラッシュアップしていく予定です。
産業を支えるパートナー企業(スポンサー)
本サミットは、アスパラガス産業の発展を志す、以下の企業の皆様のご協賛により開催されました。 栽培資材から最新のスマート農業機器、流通プラットフォームまで、多岐にわたる企業様が「アスパラガスの未来」を共に支えています。
【Special Thanks:スポンサー企業一覧】

AMO環境デザイン株式会社
東都興業株式会社
株式会社丸昇農材
株式会社イノベックス
日本ワイドクロス株式会社
住化農業資材株式会社
Core-Business株式会社
山陽薬品株式会社
トヨタネ株式会社
オカモト株式会社
佐藤産業株式会社
株式会社ファイトクローム
会場の熱気:スポンサーブースレポート
セッションの休憩時間、会場後方の展示ブースエリアはひっきりなしに参加者が訪れ賑わいを見せました。
「ネットの情報だけでは分からない質感や、実際の動きを確認したい」 そんな生産者の熱意に応えるように、各社の担当者が製品のデモンストレーションや技術相談に応じていました。
アンケートでも多くの反響があったように、ここでしか出会えない技術との遭遇も、サミットの大きな醍醐味となっています。 「生産者」と「企業」が直接言葉を交わし、現場の課題を共有する、この交流から、また新しい技術改良やサービスが生まれていく予感に満ちた空間でした。
編集後記:次はあなたが、この熱気の中心へ
今回のサミットで鮮明になったのは、「アスパラガス産業は、まだまだ面白くなる」という事実です。
生産者が栽培技術を磨き、企業が新しいテクノロジーで支え、流通がその価値を消費者に届ける、このエコシステムが会場の熱気そのものでした。懇親会では、初対面の生産者とバイヤーが名刺交換をし、その場で新しい取引の話が生まれるシーンもありました。
「ネットでも情報は手に入る時代」ですが、やはり現地でしか得られない「熱量」と「つながり」があります。 今回参加できなかった方も、次回はぜひこの熱狂を体感しに来てください。
アスパラガスの未来は、ここから始まっています。


