2025年11月26日、全国のアスパラガス生産者が一堂に会した「アスパラガスサミット2025」。 会場が熱気に包まれる中、このイベントをスポンサーとして力強く支援していただいたのが日本ワイドクロス株式会社です。
近年、産地で深刻化している課題は多岐にわたります。薬剤抵抗性を持ち、既存の農薬が効きにくくなった「微小害虫」の爆発的な発生。そして、気候変動に伴う「記録的な猛暑」による生育不良や作業員の健康リスク。これらの課題に対し、同社は創業以来培ってきた伝統の「蚊帳(かや)織り」技術に、色彩生理学や光学的アプローチを加え、虫の視覚を欺く「赤色ネット」や、涼しさと明るさを高度に両立する画期的な遮熱資材を提案しています。
創業50年を超える「防虫ネットのパイオニア」が、なぜ今「光の波長」に着目するのか。サミットでの手応えや、アスパラガス農家が抱える課題への具体的な解決策、そして未来の持続可能な栽培環境への展望について、同社の担当者にじっくりとお話を伺いました。
1.サミットを振り返って
ーー まずは、アスパラガスサミット2025を終えての率直な感想をお聞かせください。
日本ワイドクロス株式会社 鎌田様(以下、鎌田):
弊社としては今回、特定の作目、それもアスパラガスに特化したこれほど大規模なイベントというのは、私の記憶にある限りあまり例がなく、非常に珍しい機会だと感じました。
ーー 当日のブースには、多くの資材を持ち込まれていて非常に「豪華」な展示でしたね。
鎌田: せっかくの機会ですので、遮光ネットや防虫ネット、防草シートなど、持っていける限りの現物を持ち込みました。どのような資材がどの方にヒットするか未知数でしたが、プログラムの合間や前後の時間に、来場された生産者の皆さんと直接お話しできたことは大きな収穫でした。
ーー 生産者の皆様の反応はいかがでしたか?
鎌田: ブースに足を運んでくださった方は参加者の一部ではありましたが、非常に熱心に質問をいただきました。今後は、例えば参加者全員に向けて1〜2分でも短く製品をPRできるような機会があれば、より多くの方に解決策を提案できるのではないかという前向きな手応えも感じています。
2. 蚊帳(かや)織りの伝統から生まれた「防虫ネットのパイオニア」

ーー まずは、日本ワイドクロス様の歩みと、農業分野へ参入されたきっかけについて教えてください。
鎌田: 弊社は1974年(昭和49年)に創業し、2025年現在で54期目を迎える会社です。社名の「ワイド」は、創業者の広橋(ひろはし)の「広」を英訳したものから、「クロス」は私たちが製造している織物や編み物の資材(クロス資材)に由来しています。
私たちの事業の原点は、今から50年以上前に遡る日本の伝統技術「蚊帳(かや)」の製造にあります。映画『となりのトトロ』に出てくるような、蚊の侵入を防ぐために家庭で吊るされていたあの蚊帳です。その「蚊を入れない」という織物技術と機械を、農作物を害虫から守るために応用できないかと考えたのが、農業分野への参入のきっかけでした
そこから「農作物を害虫から守る」技術へと昇華させ、防虫ネット、遮光・遮熱ネット、防草シートといった農業用資材の開発・製造を主軸とする現在の姿へと発展してきました。長年にわたる努力が評価され、2012年には「減農薬栽培の普及に貢献した農業用被覆資材の開発」の功績で、農林水産大臣賞を受賞することができました。これは私たちの製品が、単なる資材を超えて日本の食の安全を支えるインフラとして認められた証だと自負しております。

3. 気候変動と微小害虫への「色彩効果」による挑戦
ーー 近年、気候変動や環境変化が農業に大きな影響を与えていますが、資材メーカーの視点から現場の課題をどう捉えていますか?
鎌田: やはり、人手不足と高齢化、そして地球温暖化による環境の変化が最大の課題です。特に温暖化の影響は深刻で、害虫の生態系が大きく変わっています。かつては西日本にしかいなかった害虫が東北や北海道まで北上し、外来種の侵入も相まって被害が全国規模で深刻化しています。
ーー 具体的に、現在どのような害虫の相談が増えているのでしょうか?
鎌田:特にアザミウマ類やコナジラミ類といった、目に見えないほど小さな微小害虫の蔓延が大きな脅威となっています。これらは吸汁害だけでなく、ウイルス病を媒介することで株全体をダメにしてしまうリスクもあります。
従来、こうした微小害虫を防ぐには、ネットの目合い(網目)を物理的に細かくするしかありませんでした。体長1mm以下のアザミウマを防ぐには、0.4mm以下の極細目合いが必要です。しかし、目合いを細かくすればするほど、通気性は劇的に悪化します。結果としてハウス内に熱がこもり、高温障害や蒸れによる病気を引き起こすという「防除と環境制御のジレンマ」に多くの農家さんが苦しんでいました。
また、最近では海外から入ってきた「トマトキバガ」が北海道などで猛威を振るうといった、予想だにしない事態も起きています。これらの害虫は薬剤への抵抗性を強めており、農薬の進化よりも虫の進化のスピードの方が早いのではないかと感じるほど、現場では防除が難しくなっています。
ーー その解決策として、今回のアスパラガスサミットでもご紹介いただいた「サンサンネット クロスレッド」が注目されていますね。
鎌田: その通りです。「サンサンネット クロスレッド(XR-2700)」は、神奈川県農業技術センターとの共同開発によって生まれた「色彩効果」を利用した機能的防虫ネットです。 体長約1mm弱のアザミウマ類は、従来の白ネットでは0.4mm以下の極細目合いでないと物理的に防げませんでしたが、それでは風通しが悪くなり、ハウス内の温度が上昇してしまいます。 そこで開発されたのが「赤色」のネットです。アザミウマ類には赤色光の波長が認識できず、ネットが「黒い障壁」に見えるというメカニズムを利用しています。これにより、0.8mmという通気性の良い目合いでも、従来の0.4mm以下の白ネットと同等の侵入抑制効果を発揮できるようになりました。

また、コナジラミ類に特化した「サンサンネット クロスブラック(XB-4200)」も展開しています。コナジラミが好む「黄色」の波長をカットする黒色の色彩効果を組み合わせることで、侵入率を白色の従来品(0.4mm目合い)に比べ約15分の1まで低減させることに成功しています。

4. 高温対策の決定版「ら~くらくスーパーホワイトライト」
ーー アスパラガス栽培では、近年の猛暑による高温障害も大きな課題となっています。遮光・遮熱対策についてはどのような提案がありますか?
鎌田: ハウス内の温度上昇を抑えることは、作業者の安全と作物の品質維持の両面で不可欠です。弊社が提案する「ら~くらくスーパーホワイトライト(Lシリーズ)」は、高い光反射効率を誇る「スノーテックス素材」を採用した遮熱ネットです。
特殊なチタンホワイト糸を使用しており、太陽光を乱反射・拡散させる驚異のダブル遮熱効果を発揮します。最大の特徴は、「涼しいのに明るい」という点です。従来の黒い遮光ネットはハウス内を暗くしてしまいますが、この製品は採光性を兼ね備えているため、作物の生育に必要な光を通しながら熱線だけをカットします。さらに熱融着加工を施しているため、目ズレやホツレがなく、現場で自由にカットしても耐久性を損ないません。
また、さらに遮熱性と保温性を両立させたい場合には、デュポン™タイベック®素材を使用した「サンサンカーテン」シリーズも推奨しています。これは夏場は赤外線を反射して温度を下げ、冬場は熱放射を抑えて暖かさを保つ、オールシーズン対応の資材です。

5. 国内生産100台以上の織機が生む「圧倒的な供給力と対応力」
ーー 数あるメーカーの中で、日本ワイドクロス様が多くの生産者から選ばれ続けている理由、最大の強みはどこにあるとお考えですか。
鎌田: 最大の強みは、やはり「国内生産へのこだわり」と、それを支える100台以上の自社保有織機による圧倒的な供給力です。 近年、コストダウンのために海外へ生産拠点を移す資材メーカーも増えていますが、私たちは群馬県と福岡県に大規模な自社工場を持ち、国内生産を主軸としています。
農業は「タイミング」が命です。突発的な害虫の発生や、予期せぬ猛暑が来たとき、「資材が届くのが1ヶ月後」では手遅れになってしまいます。私たちは国内工場があることで、市場の需要変動に即座に対応できます。また、主要な製品については10種類以上の豊富な規格幅を常時在庫として抱えており、午前中に注文いただければ最短で当日・翌日出荷という体制を整えています。「必要な時に、必要な資材がすぐ手に入る」。この当たり前を維持し続けることが、日本の農業を守ることにつながると信じています

ーー 現場の声がすぐに製品開発に反映される環境があるのですね。
鎌田: はい。製造現場と営業、そして農家様との距離が非常に近いのが特徴です。 また、ハウスの形状は農家さんごとに千差万別です。 また、農家さん個々のハウスサイズに合わせたオーダーメイドの加工(ハトメ打ち、ロープ入り、ファスナー取り付けなど)も、国内3拠点の加工場(大阪・群馬・福岡)でスピーディーに対応しています。ネットを使いやすくするための「ファスナー加工」などは、出入り口の換気と防虫を両立させるために多くの農家様に喜ばれています。こうした「現場の使い勝手」を細部まで調整できるのも、国内自社一貫体制ならではの強みです。
6. 全国のアスパラガス生産者へのメッセージ
ーー 最後に、全国のアスパラガス生産者の皆様へメッセージをお願いします。
鎌田: 弊社の企業理念は「すこやかな農業を念じて」です。 農業は自然環境の変化に左右される過酷な仕事ですが、私たちの製品が農家さんの作業環境を少しでも楽に、そして「過ごしやすい環境」に変えるお手伝いができればと願っています。
ネット一枚で農薬散布の手間が減り、遮熱シートで夏の作業が涼しくなる。そんな、現場に寄り添った解決策を提案し続けていきます。
全国各地にフットワークの軽い営業担当がおりますので、圃場の具体的なお悩み、例えば「うちの地域の風の強さに耐えられるか」「今のハウス形状にどう合わせるか」といったご相談があれば、ぜひお気軽にお声がけください。
アスパラガスの未来を、共に作っていけることを楽しみにしております。
(あとがき) 日本ワイドクロスの取材を通して見えてきたのは、50年という歴史に裏打ちされた「伝統」と、それを「波長」や「熱反射」という科学でアップデートし続ける「開発力」でした。 アスパラガスの安定生産と、農家の健やかな暮らし。その土台を支える「ネット一枚」に込められた情熱は、これからのアスパラガスビジネスを強力にバックアップしていくに違いありません。
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