目次
企業人材の新しい働き方
「平日は会議室、週末は畑」
そんな働き方が現実になりつつあります。
企業が社員を出向や副業の形で農業に送り出す動きは、単なる人材派遣ではありません。現場での経験が企業に新しい視点をもたらし、地域や農業の担い手不足解消にもつながる“三方よし”のモデルなのです。

なぜ“農業×副業・出向”なのか|収益モデル・DX・学習効果
- 作物特性を活かした多様な収益モデル
一年生作物は短期で収益を得られ、多年生作物や施設園芸は中長期の計画経営に向く。企業は目的に合わせて作物を選べる(出典:農林水産省「作物統計」)。 - スマート農業と相性◎
温湿度センサーやAI収穫予測、潅水施肥の自動制御など、最新技術の導入により省力化と品質安定が可能(出典:農林水産省「スマート農業実証事業」)。 - 成長と成果の“実感”
播種・植え付けから収穫まで、成長の過程を直接観察でき、現場での学びや達成感を得やすい(出典:農研機構 作物研究資料)。
異業種×出向・副業のリアル事例
1. ワタミファーム(外食業)
自社農場運営と販路・認証まで学ぶ
外食チェーンのワタミは、自社農場約90ha(有機JAS認証取得面積33ha)で野菜・卵・牛を生産し、グループ店舗へ供給
(出典:農中総研レポート 農林中央金庫, 2004年12月号 nochuri.co.jp)。
育成ポイント:農作業だけでなく、販路構築や品質認証取得のプロセスも学べる。
2. ルートレックネットワークス(IT業)
IoT潅水施肥とAI予測の実証
IoT制御の潅水施肥システム「ゼロアグリ」を開発する同社は、長崎県壱岐市でアスパラ高畝栽培の実証を開始。AIで水・肥料を自動最適化し、収穫予測も行う
(出典:ゼロアグリ公式ニュースリリース, 2024年11月27日 zero-agri.jp)。
育成ポイント:現場でスマート農業機器を扱う経験が、ITエンジニアの新たなスキルに。
3. タカヒコアグロビジネス(建設業)
温室×施工技術で高効率経営
建設業から参入し、オランダ型温室と自社の施工技術を融合。スマート農業を組み込んだ高効率経営で地元雇用も創出(出典:大分県公式サイト「農業参入企業の事例集」pref.oita.jp)。
育成ポイント:施設園芸の運営・設計・維持管理スキルが学べる。
出向・副業で身につくスキル|OJT×経営視点×地域連携
- 現場OJT:植え付け〜収穫〜出荷までを体験し、農業の年間サイクルを理解。
- 経営視点の習得:原価計算、販路開拓、補助金申請など経営に直結する知識を学ぶ。
- 地域連携力の強化:自治体・JA・地元企業との協働プロジェクトに関わる。
- 企業スキルの逆輸入:IT、マーケティング、物流改善などを農業現場に持ち込み、生産性向上に貢献。
企業にもたらすリターン|新規事業・人材成長・ESG/CSR
- 新規事業の可能性:農産物販売、加工、観光など多角化の入口に。
- 社員の成長:現場判断力・課題解決力・チーム運営力が自然に磨かれる。
- 社会的評価:食料自給率向上や地域振興への貢献は、ESGやCSRの観点でもプラス。
はじめの一歩|“短期現場参加”から始める導入ステップ
副業制度や企業間出向を活用し、まずは数日〜数週間、農場で働いてみる。
土に触れ、成長を見守り、収穫物を市場に送り出す。
その経験は、デスクでは得られない学びとなります。
あなたのキャリアに、もう一つのフィールドを加えてみませんか?