地産地消・関係人口・ふるさと納税の三本柱
地域課題の“交差点”に立つ野菜、それがアスパラガス
少子高齢化、農業の担い手不足、地場産品の低迷…。地域の課題が複雑化する中、ひとつの作物が思いがけず地域再生の起点になりつつあります。その野菜とは、アスパラガスです。
アスパラは、地場産業の育成から関係人口の創出、ふるさと納税での収益化まで、自治体が今すぐ活用できる「三本柱」の展開性を持つ、可能性豊かな作物です。

1. 地産地消の武器になる──アスパラのブランド展開
アスパラガスは春芽・夏芽と年2回収穫でき、地元流通においても安定した供給が可能な点が魅力です。特に「地元食材×飲食店」「農産加工品」「地場フェア」との親和性が高く、地域ブランド化の核になり得ます。
■ 実践事例とアイデア
- 直売所・スーパーでの地元産アスパラフェア
- アスパラ餃子やピクルスなどの6次加工商品開発
- レストランと連携した「アスパラ月間」の開催
📊 参考データ
日本のアスパラガス生産量:約30,000トン(2022年)
主な産地:北海道(3,300t)、佐賀(2,900t)、熊本・長野(各2,100t)
2. 関係人口をつくる──体験・観光・農泊との連携
■ 観光農園・体験プログラムとしての導入
北海道網走市では、毎年春に「アスパラ収穫体験(大人500円・子供300円)」を開催し、観光客・地元住民ともに人気を集めています。こうした体験型アクティビティは、地域への関心を高めるだけでなく、関係人口創出にも有効です。
- 収穫体験 × 農泊や温泉旅館とのセット販売
- 都市部大学生の農業インターン受け入れ
- 週末ファームステイによる多拠点居住者との接点創出
これらはすでに実施実績があるモデルであり、小さな取り組みから始められます。
3. ふるさと納税で収益を得る──応援とブランドを両立
ふるさと納税は、地域産品を通じて都市住民とつながる「新しい関係性づくりの手段」でもあります。アスパラは冷蔵・冷凍での品質保持が比較的容易で、返礼品としても扱いやすい野菜のひとつです。
📈 2021年度ふるさと納税実績
寄付件数:743万件/寄付総額:約8,302億円
⇒ 市町村の収益源としても非常に大きな比重を持つ

■ 有効な返礼品戦略の一例
- 【定期便型】:春〜夏の収穫時期に合わせて年2回発送
- 【セット型】:アスパラ加工品×地元酒・温泉券との詰め合わせ
- 【体験型】:「アスパラ体験+1泊2日農泊ツアー」としてPR
※返礼率は寄付額の30%以下に設定(制度上限)
4. 政策の後押し──国の支援と組み合わせて推進
2014年以降、国は「地方創生」を掲げ、移住定住支援・地域商社設立・農泊振興・起業支援制度など、自治体の地域資源活用に向けた制度整備を進めてきました。これにより、アスパラを起点とする地域事業は以下のように展開できます。
■ 自治体導入のロードマップ(モデル)
フェーズ | 主な内容 |
① 調査・企画 | 栽培環境、担い手候補、販路調査など |
② パートナー形成 | JA、農家、加工業者、観光団体との連携 |
③ 小規模実証 | 加工試作、体験ツアー、地元飲食との連携実験 |
④ 制度活用 | 農泊支援、観光交付金、ふるさと起業支援など |
⑤ 展開・改善 | SNS・納税件数・観光人数をKPIに展開改善 |
5. 成果のあるところに、人と資金は集まる
地場の農業再生、若者との接点、都市との関係人口、そしてふるさと納税による収益獲得。これらが一つの作物=アスパラガスを核に結びつくからこそ、地方創生の“次の一手”として注目されつつあるのです。
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